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展覧会『愛のヴィクトリアンジュエリー 華麗なる英国のライフスタイル』

写真:展覧会リーフレット

真珠をメインにした展覧会は、残念ながら東京では2020年に渋谷区立松濤美術館における『真珠 海からの贈りもの』以来、開催されていないようです。日頃、卸売前の金色の真珠は見ていますが、美術品レベルのパールジュエリーを時には見たい!という欲求にかられます。今回、真珠がメインではないものの、ヴィクトリア女王時代のジュエリー展が開催された八王子夢美術館に行って来ました(開催期間:2022年7月1日~9月4日)。

展示品は、18~19世紀のイギリスで主として作られたジュエリー、アフタヌーンティーの銀食器やベルギー製のレースなどがメインです。日本では江戸中期から明治中期の時代にあたる今から100年以上前のジュエリーは「アンティーク」として認識されています。実は展覧会の全容は、プロ執筆者がまとめられたものをネット上で見つけ、それに触発されて私も足を運ぶ気になったのでした。
愛のヴィクトリアンジュエリー アイエム[インターネットミュージアム]
  
上述のレポートでは真珠の記述は見当たらないのですが、パールジュエリーもいくつか展示されていたので、真珠に的を絞って感想をまとめてみます(館内撮影禁止のため、ブログの写真はリーフレットで公開されたものを使用しました)。

写真:エナメル&サファイア、ダイヤモンドネックレス 1880年頃 イギリス

パールはヴィクトリア時代に愛好されたジュエリーで、シードパール(いわゆるケシ)が特に多用されました。シードパールは大きさが直径2mm~1mmに満たないとても小さなものです。白蝶貝をカットした台座とシードパールを一体化させたジュエリーが制作されました。当時はまだ養殖真珠はなく天然真珠を使用したため、限られた数になるのは否めません。そこで天然真珠を半分にカットし、ハーフパールとして使う方法も用いられていました。
展示では3種類の花のデザインを取り入れたシードパールの繊細なティアラ、ブローチ、モスアゲート(瑪瑙の一種)やシトリン(=黄水晶、ヴィクトリア時代にはトパーズの代替品として使われた)とハーフパールを組み合わせたブローチなどを見ました。非常に小さなシードパールを数多く使い、上品さと優美を兼ね備えたアンティークジュエリーの数々は、現在では技術的に再現が不可能と言われているものも多数ある、の説明書きに大いに納得です。
また、1つだけでしたがバロックパールを使ったペンダントがありました。パールは大きめで、少しいびつなハート形。下部がかなりでっぷりとしていて、そこにエメラルドやルビー、サファイアで装飾が施されたデザイン性の高いものでした。

予想していたとおり、ゴールデンパールを使ったものはなかったのですが、「金色の真珠を使っている?」と勘違いしそうなジュエリーが1点ありました。それは19世紀初頭のフランスで制作されたゴールドネックレスとイヤリングセットです。この時代は金の希少価値が高かったため、少量を効果的に使ったジュエリーが多かったようです。この作品では金を小さなラウンド状に加工し、それをネックレスやイヤリングの一部に使用していました。ゴールドのみで制作された、芸術的かつ繊細、そして非常に高価であろうことが簡単に推測できるジュエリーでした。

当時のジュエリーの他に、ウェディングドレスや美しいレースのヴェール、デザイン画、エナメルやモザイク、カメオ等の作品もあり、小規模ながらもヴィクトリア時代の雰囲気と工芸技術の高さを感じられる展覧会を堪能できました。

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