ゴールデンパールの物語 第五話 前編
ゴールデンパールの物語 第五話(前編)
我々がフィリピン共和国パラワン州で南洋真珠養殖に携わること、はや25年(注:2018年現在)経ち、過去一話から四話の記事でカルチャーのギャップ・適地選定の重要性・セキュリティーの必要性など、東南アジアで真珠養殖を行う上で、さまざまなハードルがあったことをお話してまいりました。おそらく他国で南洋真珠を作っておられる方々も大変な苦労をされているのではないか、と考えております。どうぞ真珠業界の皆さん、我々生産者に優しくしてください。
さて今回、最終話では2018年現在の状況などをお伝えしたいと思います。
養殖用として7,000ヘクタールの漁場を使用しており、東京ドーム1,500個ほどの広さがあります。端から端への視認は難しいほどの広さですが、環境保全のため貝の飼育密度を低くして使用しています。
養殖しているエリアの環境要因で真珠の色の濃さが大きく変わることを経験則で知ってはいても、広大な漁場の温度や水質を人為的にコントロールすることはできません。そのため、日々水温や水質のデータを取り、頻繁に品質確認をしております。
ところで、皆さんご存知でしょうか?
黄色系の真珠の色の濃さは貝の体内で日々変化するのですよ。黄色(金色)は実体色で、真珠層内のコンキオリンタンパク中に黄色い色素を多く含み、その層が厚く成長(厚巻き)した場合のみ金色に見えます。
しかし、体内で黄色く成長中の真珠に、海況の変化で薄い色の真珠層が上塗り成長すると珠の色は薄く傾いていきます。色の違いは浜揚価格に大きく影響するので、サンプリングは非常に重要です。
鬼の上司からは「お前が色変化や浜揚タイミングを見誤ると水揚げ金額が大きく変わるので、見誤ったら海に沈める」と言われています。(ウソです、盛っています)
(第五話(後編)に続く)
この記事へのコメントはありません。