ゴールデンパールの物語 第四話 前編
ゴールデンパールの物語 第四話(前編)
第三話の記事文末でお話したとおり、カントリーリスクとセキュリティーについて書きますが、どこまで書いて良いか難しいところです・・少々物騒な話もありますが、たくさんのエピソードの中からいくつかピックアップして、ご紹介しましょう!
フィリピンのパラワン諸島で我々が南洋真珠養殖を始めたころ、近くのエリアに現地資本で真珠養殖をしている会社があり、そこの現地マネジャーと話す機会がありました。
現場マネジャーが「先日、真珠を盗みに来た泥棒を捕まえたのです」と(自慢そうに)言うので、私が「ほうほう、この辺りで捕まえた犯罪者はどこの管轄の警察に連れて行くのですか?」と問うと、そのマネジャーはニヤリと笑って「彼ら(泥棒)はもういませんよ」と事もなげに言うのでした。こわい怖い・・。
フィリピンは一般市民が銃器の所持を許されている国で、銃器類を簡単に手に入れることができるため、真珠を盗みに来る泥棒も、もちろん武器を所持しています。それを踏まえて自衛上、我々が行ったのは「泥棒に盗られないような警備体制を作り上げる」ということでした。
セキュリティーの人員の充実だけでなく、装備もばっちり整えました。守る側は24時間体制でパトロールする必要があり、8時間の3交替で切れ間がないシフトを組むため、従業員全体の30%がセキュリティーの人員で、その数なんと120人。自動小銃も100丁を超えます・・。
漁場規模の拡大に伴い、警備の人員・装備が急激に増えた当時、武器庫に入りきらないアーマーライトM16自動小銃やマシンピストル(ウーズィー(注1)みたいな銃)やグレネードランチャー(注2)・手榴弾など(「なんでこんなモノまであるの?」)が金庫室にいっぱい入っておりました。
(第四話(後編)に続く)
(注1) 第二次世界大戦後の第一世代を代表する短機関銃のこと
(注2) 比較的近距離の目標物に擲弾を発射するための火器のこと
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